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明治時代後半,歴史画の分野で革新的な日本画表現を追求していた紫紅が初めて描いた本格的風景画。紫紅の特色は,主題を緻密に検討し,内容に適わしい画面を彩色を重視して構成する事である。月を描かず月下の石山寺山内を画面一杯に描いた「石山秋月」や,遠景まで鮮明に見える瞬間を明るい緑と青で表わす「粟津晴嵐」など広重の近江八景(版画)とは全く異なる近江八景の新しい魅力を表現し,近代日本画の方向を示唆する作品。